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07 . October
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06 . May
試験が終わっての就職活動。なんとか希望の城への就職も決まった。



そして、桜が綻びはじめた三月のよく晴れた日。

俺は卒業を迎えた。

卒業式、なんて言ってもまあ父兄参列があるわけでもない。教室で卒業証明書を受けとった後は生徒たちが校庭に集まって各自自由に挨拶をする、お別れ会みたいなもんだ。
大した感慨もなくふらりと校庭に出ると、まっ先に駆け寄ってきたのは委員会の後輩達だった。
「次屋先輩っっ!」
『卒業おめでとうございます!!』
シロの掛け声で一斉に頭を下げられた。ちょっとこれは恥ずかしい。
そういえば体育委員会で卒業生が出るのは久々だったっけ。何年か前に、滝夜叉丸の号令でこれをやった覚えがある。あの時の七松先輩の微妙な笑顔の理由が今ならよくわかる。照れるわ、これ。ぼりぼりと頭を掻く俺にかまわず、送辞は続いた。
「先輩には、本当に…」
正面に立ったシロの言葉が詰まった。大きな目が揺らぐ。涙がみるみる溢れ、流れた。
「お、おぜわに……」
とうとう続けられなくなって、嗚咽を漏らしながら涙を拭うシロを見て、俺はようやく胸が熱くなった。
ああそうか、今まで当たり前のように側にいた人との別れ。そうだ、卒業とはこういうものだ。
もうこいつらと、マラソンをすることも塹壕を掘ることも、予算会議の作戦を立てることもない。皆して集まれるかも、もう。寂しいと思う。
見れば金吾も「シロ先輩泣かないで」、とか言いながら泣いている。他の後輩も同じく。
なんだなんだ、体育委員会は泣き虫がこんな多かったか?
そう言おうとして、気付いた。
泣き虫、というよりこれは情の深さか。七松先輩から、そしてその前からもずっと続いている体育委員会の情の深さ、絆の強さ。俺もその流れの一端になれたことが誇らしい。
最初はあんなに嫌だった委員会なのにおかしいな、良い委員会に入れてよかったと、今は心から思う。六年前の四月、七松先輩と目が合ったのが俺で本当によかった。目頭が熱くなるのを必死で堪えた。
「みんなありがとな。お前らも元気でやれよ。シロ、後は任せた。金吾もシロを助けてやってな。」
頭を撫でるには二人とももう大きくなっていた。何度も頷く二人の肩に手を置いて笑う。
俺はここから卒業するけど、この優しい後輩達に任せておけば委員会は大丈夫。
良い後輩を持てて、俺は最高に幸せだ。

笑い、泣き、怒り、そして、恋をした。この学園を、俺はその日卒業した。
素晴らしい六年間だった。



卒業式の翌日には、六年は纏めた荷物を手に一斉に旅立つ。
俺は中の良かった四人と共に、学園を出ることになっていた。
出発は午後。俺は少し早めに起きて、滝夜叉丸の墓に向かった。
通い慣れたこの道も、学園から通うのはこれで最後だと思うと少し切ない。
「や、おはよ」
墓石代わりににした岩に話しかけることはもう習慣になっていて。
ぱん、と手を合わせて拝む。儀礼的なもんだが墓参りといったらまずこれだ。
「無事卒業したよ。あんたよりも先に来ちゃったな」
卒業証書の巻物と学園の桜の枝を墓へ手向ける。
喜ぶだろうか、悔しがるだろうか。滝夜叉丸の顔を思い浮かべて俺は笑った。
「も、これまでみたいにはこれないけど、ここへは必ず来るから、」
つるりとした岩肌を撫でる。
「だから、あんたはここで俺を待っててな?」

ふわりと風が揺れる。
優しい春風に包まれて、俺は昼の鐘が聞こえるまでそこで過ごしていた。

俺、学園に入ってよかった。
あんたに恋をして、本当に幸せだった。

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