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25 . November
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18 . August
Hey look,my little secret box.
Guess what is inside;you'll be surprised.
do you see it? Do you feel it?
My sweet memories...

My precious memories..




最近、おかしな夢を見る。
時代や設定はいつも同じ。忍者の学校で、忍者を学ぶ生徒の一人として自分はいる。
日によって学年は違うが、一番多いのは若草色の忍び服の時だ。ちらほらと見覚えのある奴らとともに、今みたいな学生生活をしてて、そして、
「作兵衛」
夢の中でも、優しい先輩の顔。
俺ってば夢にまでみるなんて、どんだけ先輩のことが好きなんだろう。


【shining ray】


富松作兵衛。15歳。大川学園中等部三年ろ組。用具委員会所属。
現在片思い中。

「作兵衛、そっちの在庫数え終わったか?」
「はい。やっぱりバレーボール足りませんね…また体育委員会でしょうか。」
「……小平太の奴か。」
「おそらく…」
やれやれ、形のいい眉をしかめて、諦めたようにため息をつくのが、俺の片思いの相手。
食満留三郎先輩。学年は高等部の三年。普通の学校ならばあまり関わることもないだろうが、うちの学校はちょっとばかし変わっていて、委員会を通して縦の繋がりが深い。中等部に入学して三年間ずっと俺は食満先輩と同じ委員会で、そして少しずつ先輩のことを好きになっていった。
「…ったく。しょうがねえな。明日にでも体育委員会に抗議しにいく。それでダメなら会計に言って行方不明の予算分こっちに回してもらう。」
「はあ」
あの委員長達相手だと無駄な抗議だと思うけれども。まあそんなことは先輩も分かっているんだろう。解決案を出したところで先輩の眉間のシワはとれない。
男前なのにもったいたないなぁ、そう思って、俺は一人赤面した。
ほんとに俺はどこまで先輩のことが好きなんだろう。

その夜、また夢を見た。
忍者の学校ならではの手裏剣のテストを明日に控えた俺は放課後、裏庭で自主練をしていた。左門と三之助と委員会後に集合を約束していたのだが、大方また迷子にでもなっているのだろう。終わったら探しに行こう。悪いが今は友情よりもテストを優先させてもらう。なんたって感覚でとらえるあの野生児たちに比べて、俺は実践が苦手なのだ。
案の定、木枠に貼られた的の中心を目指して投げるもうまくいかない。ムキになって投げた所で埒もあかず、嫌になってきた頃。
ひょいと背中の塀から顔を出したのは食満先輩だった。
「何やってんだ、作兵衛。」
「食満先輩。ええと、その、手裏剣のテストが明日あって。」
「自主練か。偉いな」
笑った顔が頭を撫でる。大きな手。笑顔がこぼれた。
「んん、でも命中率はイマイチ、か。」
的を見られ、不甲斐なさに顔が赤く染まる。食満先輩の手が俺の腕を取った。
「先輩?」
「平打ちのコツは的よりやや手前を狙うことだ。」
抱え込まれるように手を握られる。先輩の顎が後頭部にあたり、密着度が知れた。
近い近い近い!!!!
「右打ちで的を狙う時、体の角度は垂直からやや内に傾ける。狙いは目で見て、手を離す角度はここ。的を捉えてからでは遅い。」
丁寧な教え。ある程度ゆっくりな動きで教えられた後、解るか?の声。慌てて頷く。
「じゃあ一回実践な。」
「え?」
手を取られたまま構えられた。すうと息を飲む音がしてぐんと腕が引かれる。わわわ。
「今っ」
「っ!!」
低い声に反応して手裏剣を持つ手を緩めると、次の瞬間、いくら投げても当たらなかった的の中心へとん、と刺さった。あまりにあっさりと的を捉えたそれに、俺はすこし呆然とした。
「あたっ、た…」
「ま、俺のやり方だがコツぐらいは掴めたろ?」
先輩が笑う。今まであった体温が離れて俺は少し寂しくなった。ああそうだ、お礼を言わなくては!
「あ、ありがとうございます!!」
「なに、いいってことよ。それよか明日のテスト頑張れよ。くれぐれも文次郎のとこのには負けんな!」
頭を乱暴に撫ぜられる。
わ、せんぱ


い……」
「何言ってんだ作兵衛?」
「っ!!」
ベッドからがばりと起き上がる。
窓のカーテンは開け放たれ、朝日が差し込んでいた。一瞬、自分の居場所が解らなくて緊張する。
「さ、く、べ、え?」
二段ベッドの上から覗き込んでいる左門が言った。
「ようやくお目覚めか。おはよう作兵衛。随分いい夢を見ていたようだな」
「ゆ、め…?」
「なんだよ、まだ起きてねえのか。」
歯磨きを加えたまま、向かいのベッドに座る三之助が呆れたように言った。
ああ、そうだ。ここは自分の寮の部屋じゃないか。何を緊張していたんだろう。息を一つ吐いた。
ここは、現代、だ。
「起きたっての。」
「いやそんなぼけっとした顔で言われても。」
「まあ寝ててもいいんじゃないか?まだ6時だ。」
「6時?」
口を濯いで身支度を始める三之助を見遣ると、奴は言う。
「剣道部の朝練。」
「…なるほど。」
そういえばもう大会前の時期だっけか。三之助の所属する学園の剣道部は大会前の一月、いつもの放課後練に加えて朝練が入るのだ。
あれ?でも、
「お前、一人で剣道場まで行けんの?」
「は?」
「だってお前、迷子になんだろ……」
三之助がまじまじと俺の顔を見るものだから、つい語尾が小さくなった。あれ?俺変なこと言った?
「おい、作兵衛大丈夫か?迷子は私の特権であって三之助の特権ではないぞ!」
左門の言葉にはっとする。
しまった!!今、「夢の中の三之助」とごっちゃになってたんだ!
あーもう、ややこしいなぁっっ!!これも全部夢のせいだ!見てるの俺だけどっ!!
「あー、、ごめん!!変な夢みてさあ、なんかやっぱ寝ぼけてるみてぇ!」
「よし、寝とけ寝とけ!私がいい時間に起こすから!」
「悪いけど左門のそれは信用しねーぞ、俺は。」
「なんだとうっ」
ベッドの上段から飛び降りて来る左門を避けて、ベッドから飛び出た。振り向き様に左門に仕掛けようとした腕が捕まれる。
「ちょっ、三之助!離せっ」
しっかと掴まれた腕が痛い。眉をしかめて仰ぎ見ると、やたらマジな顔が俺を見ていた。
「さん、」
「変な夢って言った?どんな夢?」
声が低い。やばい、なんか知らんが怖い。

どうした三之助?たかだか俺の夢がどうかしたか?
ちょっと、不思議な夢を見ただけじゃあないか。




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